【トランプ大統領令がヤバい】「性別は男と女のみ」性別役割分業が復活!?

考察・解説

トランプ大統領令が『ジェンダーは男と女のみ』と断定!性別役割分業の復活や社会的性差の議論を徹底解説。多様な性差を考える視点を探ります。

トランプ氏の発言『ジェンダーは男と女しかない』を考察

2025年1月、トランプ氏が再びアメリカ大統領に就任しました。その就任直後の演説で彼は「ジェンダーは男と女しかない」と発言。この一言が大きな議論を呼び起こしています。

この発言は、彼の支持基盤である保守層へのアピールとされていますが、社会的性差の概念を無視したものとして批判されています。

👇️こちらはトランプ氏の発言が紹介されている動画です👇️

ジェンダー(gender)とは社会的性差を指す概念であり、生物学的な性差であるセックス(sex)とは異なります。「男と女しかいない」という理解は、このジェンダーの定義を無視したものであり、矛盾を抱えています。

本記事では、ジェンダーとセックスの定義の違いを整理しながら、この発言が破綻している理由を明らかにします。また、ホワイトハウスの公式文書における「セックス」という修正が、なぜ問題を解消しないのかについても触れます。


ジェンダーとセックスの学術的定義

まずはジェンダーとセックスの違いについて丁寧に整理しておきましょう。

セックス(sex)ー生物学的性差

セックスとは、染色体やホルモン、外性器といった身体的特徴による生物学的性差を指します。

「XX染色体を持つ、ペ二スを持つ」といった典型的な身体的特徴を「男性」と名付け、「XY染色体を持つ、膣を持つ」といった典型的な身体的特徴を「女性」と名付けています。

あくまでも「典型的な身体的特徴」に人間が名を付けているのであり、生物学的に観察される身体的特徴は、そのほかにもさまざまなパターンが存在します。

通常、1か6の状態で男女性がはっきりしているが、DSDで出生時に性の判別が困難な場合は3か4の状態であることが多い
「性分化疾患(DSD)とは?性分化疾患の種類や特徴について」より引用
〈参考URL〉https://medicalnote.jp/diseases/%E6%80%A7%E5%88%86%E5%8C%96%E7%95%B0%E5%B8%B8%E7%97%87/contents/160530-005-DW

ジェンダー(gender)ー社会的性差

ジェンダーは文化や社会が構築する性差を意味します。

社会が期待する性別役割ーー「男性は外に出て仕事をし、女性は家で家事をする」「育児や介護は女性が向いている」といった価値観や、個人が自己認識する性別といった要素が含まれます。

ジェンダーはセックスのように固定されたものではなく、社会や文化によって違ってきます。このことを、猫の鳴き声を例にして考えてみましょう。

◆猫の鳴き声は「ニャー」?「ミャオ」?

猫が発する音そのもの(「ニャー」「ミャオ」など)は、生物学的なものです。これはセックスに相当します。

しかし、その音をどう認識し、表現するかは文化に依存します。日本では「ニャー」、アメリカでは「ミャオ」、韓国では「ヤーオ」と表現されるように、文化的な解釈が反映されるのです。

ジェンダーもこれと同様に、文化や社会の影響を受けて構築されるものであり、「男と女しかない」という固定的な捉え方はできません。


トランプ氏の発言にみる論理破綻

トランプ氏の発言内容

トランプ氏は一般演説で「ジェンダーは男と女しかない」と述べました。この発言は、セックスとジェンダーを混同し、社会的性差という概念を無視したものです。

猫のたとえで矛盾を考える

この発言を猫の鳴き声に例えると、「猫の鳴き声は『ニャー』しかない」と断定し、「『ミャオ』や『ヤーオ』は間違い」という価値観を押し付けるようなものです。

ジェンダーも同じで、社会や文化によって多様な形態を取ります。その柔軟性を無視し、「男と女だけ」とする発言は、ジェンダーの定義に矛盾しているのです。

ホワイトハウスの修正ー「gender」から「sex」へ

興味深いことに、トランプ氏の発言内容はホワイトハウスの公式ウェブサイトに掲載された大統領令では、「ジェンダー」ではなく「セックス」という言葉に置き換えられていました。この大統領令の全文はホワイトハウス公式サイトで確認できます。

https://www.whitehouse.gov/presidential-actions/2025/01/defending-women-from-gender-ideology-extremism-and-restoring-biological-truth-to-the-federal-government

一見すると、「セックス(生物学的性差)は男と女しかいない」に修正することで矛盾が解消されたように見えるかもしれません。

しかし、セックスの定義の箇所でも述べましたが、「典型的な身体的特徴」に「男性」「女性」という呼び名を付けているのは人間であって、その特徴を持たない個体は多数存在しています。(むしろ「自然界」の方が多様です)

その多様なあり方と、人間としての尊厳の話はまた別の話です。典型的な身体的特徴を持たないからと言って、「人間として尊厳が無い」と「自然」が定義することは無いのですから。

二元論を超えるには

「ジェンダーは男と女しかない」とする発言や、それを「セックス」に置き換えたホワイトハウスの修正内容が抱える矛盾を解消するためには、ジェンダーとセックスの二元論、いいかえれば「自然」と「社会」の二分法を超えた視点が求められるのです。しかし…

【重要なポイント】トランプ大統領はこの二分法を超えるための議論を放棄したのです。

確かに、男性の身体的特徴を持ちながら性自認は女性(トランスジェンダー)の方が、女性用トイレや女性用浴室に侵入することに起因する恐怖や危険といった問題は軽視されてはいけません。

ですが、だからといってセックスを「男」と「女」のみにしたところで、問題の解決にはなりません。トランスジェンダーの存在を否定することは人権侵害ですし、問題が表立って見えなくなるだけです。(この件については、またあらためて記事にすることができたらと考えています。)

一般市民へのメッセージとしては成功?

ただ、トランプ大統領の発言が論理的に破綻しているとしても、一般市民へのメッセージとしては成功だったかもしれません。

なぜなら、トランプ氏にとっては、「女性トイレや女性風呂に侵入してくるトランスジェンダーから「女性」を守る」というこの一点さえ、一般市民に届けば良かったのですから。

オールジェンダートイレ(ジェンダーレストイレ)

そのためには、ジェンダーとセックスの定義はどうでもよかったはずです。アメリカにおいても日本と同様、「ジェンダー」と「セックス」に関する知識は、それほど世間に浸透してはいなかったのでしょう。であれば、「トランスジェンダー」への配慮より、「女性一般」へのインパクトの方が重要だったと考えられます。

さいごにー次回予告

次の記事では、セックスとジェンダーの二元論を超えるためにはどう考えたらよいのかを詳しく考察します。この先の議論を通じて、多様な性差を理解し、より包括的な社会を目指すためのヒントを探っていきましょう。

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